専門技能を有する外国人材を育てる「育成就労制度」について、政府は11日、運用の基本方針を閣議決定しました。産業分野ごとの人材の受け入れ規模は、人手不足の状況を踏まえて定めつつ、大都市圏に集中し過ぎないよう配慮に努めるなどとしています。
「育成就労制度」は外国人材を介護や建設、農業などの各分野で受け入れ、原則3年で専門的な技能を有する「特定技能」の水準まで育てるしくみで、2027年までの施行を前に、政府は11日の閣議で運用の基本方針を決定しました。
この中では、分野ごとの人材の受け入れ規模は人手不足の状況を踏まえて定めるとした上で、原則5年ごとに上限数を設け、実情に応じて柔軟に受け入れ停止や再開の措置を講じるとしています。
一方で大都市圏に人材が集中し過ぎないよう配慮に努めることが明記されています。
さらに企業などには、受け入れた人材が目標とする技能を身につける支援を行うことなどを義務づけています。
閣議に先立つ関係閣僚会議で、石破総理大臣は「人手不足に悩む国内企業と外国人材の双方にとり、真に利用しやすく魅力あるものとなるよう準備を着実に進めてほしい」と述べました。
政府はこの基本方針をもとに、産業別の詳細な制度運用のあり方を年内に策定する考えです。
「育成就労制度」は、従来の「技能実習制度」にかわるものとして、2024年の法改正で導入が決まり、2027年の6月までに施行されます。
これまでの「技能実習制度」は、外国人を実習生として受け入れ、技術を習得して母国に持ち帰ってもらおうというものですが、実際には、厳しい実習環境に置かれたことも背景に失踪者が相次ぐなどし、目的と実態がかけ離れているとの指摘があがっていました。
新たな「育成就労制度」は、外国人材を介護、建設、農業などの分野で労働力として迎え、原則3年で専門の技能があると認められる「特定技能」の水準まで育てるとし、受け入れ先の企業などには、日本語の習得を含めた支援を行うことを求めています。
また「技能実習制度」では、別の企業などに移る「転籍」が原則できませんでしたが、「育成就労制度」では、1年以上働いた上で一定の技能がある人などは同じ分野に限って認められるのをはじめ、処遇の改善が図られています。
そして「育成就労制度」のもとで日本語能力が試験で規定の水準に達したと認められるなどすれば、さらに高いレベルの「特定技能」にステップアップしより長く在留することなどが可能となります。
こうした制度改正の背景には、少子高齢化で国内の人手不足が深刻化する中、人材の確保を図っていく狙いもあります。
NHK NEWS 2025年3月11日 9時50分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250311/k10014745931000.html