有限会社おーがすと

人口減少社会において介護経営をリデザインする

【中小規模の介護企業向け】超高齢化社会を乗り切る5つの介護事業改革を解説やってみた

介護業界も年々テクノロジーの進歩によって、大きく現場の様子も変わってきています。その変化を現場で見ることも刺激的ですが、きたる2025年に向けた準備もワクワクすることばかりです。

2025年には超高齢化社会が到来します。市場規模で言えば、2025年には13兆円、2040年で28兆円まで拡大すると予想されています。

しかし、市場が大きくなるにつれてその変化に中小規模の企業が対応できるか、というと正直難しいです。大手企業がM&A(買収&合併)を繰り返し、大きな動きを見せています。

介護業界は世界的に人材不足が叫ばれる中で、私たちのような中小規模の事業者が今後の介護業界の変化に対応するため、また10年後を見据えた介護施設の運営をするために求められる5つの課題を通じて、今回解説していきます。

①介護現場の海外人材

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秋田県のみならず、日本では少子高齢化が加速していることで、労働人口が減少の一途をたどっています。介護業界だけでなく、あらゆる産業で人手不足化が深刻です。国内だけでなく、海外からの人材を確保して、人手不足を解消していく必要があります。

日本政府も技能実習制度や特定技能制度を含めて、海外の人材を受け入れる政策の見直しを進めている一方で、外国人労働者が日本を敬遠している動きを見せています。現在、外国人労働者は円安の影響で「日本の賃金は安すぎる、、、」と日本よりも良い賃金が支給される国を選ぶようになりました。

現実的に賃金の引き上げが難しい状況ですが、採用する側の意識改革が打開策になります。それが、テクノロジーの導入によるコスト削減です。デジタル化が進んだことによって、作業効率が格段に上がっていきました。そのおかげで人手に頼らなくてよいもの、人を集中させた方が良いこと、と分別することができます。

人手に頼らなくてよい業務は積極的にテクノロジーを導入して、コスト削減を行っていきます。そして、人が必要な業務には、コストをかけて報酬や給料UPに繋げて従業員に還元していくことで、海外労働者が抱える日本の賃金問題を解消していくことも可能です。

今後、世界的にも少子高齢化が進むことで、介護人材の争奪戦が始まるのは目に見えています。賃金の引き上げも必要ですが、海外労働者の人たちが日本で働く付加価値(メリット)を得られる環境を整えることも必要です。

②介護事業の人材育成

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海外労働者が日本で働きたくなる具体的な付加価値(メリット)は、現場で学べるインターンシップを入口に日本の介護ノウハウや現場スキルを学んでもらえる環境です。

そのために弊社では、海外インターンシップ事業を自社で立ち上げました。

事業内容は、海外の大学と提携することによって現地学生をインターン生として、弊社に迎えいれます。大学卒業後は、特定技能として再度日本で就職してもらうことが目的です。大学の単位を取りながら、日本で1年間実習を積み、日本の介護ノウハウを身につけてもらいます。

日本で働いてもらうためには介護ノウハウだけでなく、テクノロジーの活用法、リーダーシップやマネジメントなどのスキルを学んでもらいます。そして、母国で介護事業に活かしてもらいたいです。

学生を日本へ送りだす国や学校は、東南アジアがいずれ迎える高齢化社会に向けて、日本の介護のノウハウは必要と感じているため、高齢化先進国の日本の介護技術、教育、現場のテクノロジーの知識、経験が重要視されています。

そもそも東南アジアの方々は家族の関係性を大事にする文化が根強いです。外部に介護環境(老人ホーム等)が少なく、自宅で介護するケースも少なくありません。家族や社会のために、介護留学をする学生が増えていくと予想しています。

実際に弊社では、2019年にインドネシアから技能実習生を受け入れて以来、日本語による介護サービスをはじめ、実習を通して日本での介護スキルを学ぶ機会をつくってきました。おかげさまで現在では、12名(技能実習6名、特定技能6名)が在籍し、今年中には更に6名(技能実習1名、特定技能5名)を追加する予定です。

③介護事業とテクノロジーの活用

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引用:▲各センサーのイメージ写真 出典:「ハピネス絆」Webサイト

コスト削減を狙ったテクノロジーの導入に少し懐疑的な印象を持つ人も多いかも知れません。テクノロジーを導入することで経費を削減し、人材獲得・育成にコストをかけることが目的ですが、費用対効果が本当にあるのかどうかが気になるところだと思います。

実際の介護現場で活用されているテクノロジー(デジタル介護機器)にどのような物があるのか、テクノロジーに期待している私が介護機器について紹介していきます。

【介護現場で活用されている機材まとめ】
・AI搭載の介護支援ロボット
・睡眠状態が分かるセンサー
・排尿のタイミングを予測するセンサー
・見守りセンサー
・布型の離床センサー

【在宅介護で活用できるデジタル機器】
・見守り用 Wi-Fiカメラ
・人の動き・温度・明るさで家族を見守るセンサー
・薬の飲み忘れを防止する服薬支援機器
・計測記録をデータ化し家族が共有できるシステム

引用:テクノロジーで変わる介護現場 最新のデジタル機器ご紹介! – クローズアップ現代 – NHK

弊社では、記録システムやインカム、介護見守りロボットを活用しています。それぞれではかなりの生産性を上げ業務効率化、負担軽減にはつながっているので、投資対象としての費用対効果はバッチリでした。

厚生労働省が発表した介護ロボット導入活用事例2019年によれば、見守りロボットが常に要介護者の状態を確認しているため、夜間の見守り巡回の頻度が減らせるので、介護スタッフの業務負担が軽減していることがわかります。

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124091-介護ロボット事例集2019.indd (mhlw.go.jp)

今後、テクノロジーが便利になるにつれ、それぞれのシステムが連携していくことでさらに無駄を省けると考えています。それぞれのテクノロジーを連携できるハブになるようなテクノロジーができることで、よりいっそう業務効率が高まっていきますね。

④介護事業と地域社会との連携

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高齢化社会が進んでいる中、地域の介護サービス需要が高まっていることから介護施設の役割がより明確に求められています。介護施設が単独で運営を行うことは、経営的にも限界を迎えますが、なによりも地域に貢献できる機会を失ってしまうことが大きなリスクです。

地域と交流を通じることで介護施設の認知度向上、サービス利用者の獲得、地域資源の活用することでサービスの質を向上させることができます。私自身も海外人材と地域(町内会)への挨拶回り、行事参加、地域の小中学校と連携し訪問して地域とのコミュニケーションを欠かさず行ってきました。

地域コミュニケーションでは、メディアだけの外部情報でなく『正しく知ってもらう』を意識して、ある程度の情報は地域行事だけでなく、SNS、ホームページ等でも繰り返し発信しております。

地域と協働することで以下のメリットがあると考えています。

・サービス評価の向上

地域と連携することで介護施設の認知度も高まり、サービス利用者も増える効果があります。自社ではできない地域住民との交流や共同イベントを行うことで、参加者の体験価値も高まり、介護施設の役割・サービス評価も向上していきます。

・地域資源の活用

地域には地域施設や人材の紹介などさまざまな資源があります。地域のネットワークを活用することで、地域のボランティアや専門家との連携などあらゆる資源を活用することで介護サービスの質の向上が見込めます。地域資源をうまく活用できれば、海外労働者へのアピールポイントにもなるため、深刻化するグローバルな人材採用難も解消できることがポイントです。

・コスト削減

地域との連携は、コスト削減に大きなメリットになります。地域施設や資源を利用することができるので、設備費などのコストを抑えることができます。地域の専門家やボランティアに依頼する際も人件費の節約など省資金で取り組めるのがメリットです。これにより経営の安定化や利益の向上、そして最適な形で資金を利用することができます。

⑤介護事業とイノベーション

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2025年の超高齢化社会が到来することで市場規模が13兆円、2040年で28兆円まで拡大することが予想されます。これまで介護事業は中小事業者が主体で、収益性が低いとされてきました。

しかし、コロナ以降は倒産件数は高止まりしているものの、M&Aが再び活発化し、業界再編が進みました。介護事業者はエビデンスに基づいた科学的な介護とテクノロジーの活用が重要で、新たなデータベースやテクノロジーの活用が進展しています。

しかし、介護ロボットの導入が進まない理由として、高い価格とランニングコスト、介護保険制度の制約が挙げられます。見守りロボットの夜勤職員配置加算に関しては一部対象となっていますが、ロボット活用の一般化はそれほど進んでいません。

介護事業者の売上高や損益は報酬改定や制度変更の影響を受けやすく、旧来型のビジネスモデルには限界があります。そこで混合介護が注目されており、ルールの明確化が進むことで、事業者は収益性を高める機会を増やすことができるかもしれません。

介護事業は高齢化の進展により成長が期待されており、M&AやESGへの投資などが加速する可能性が高いです。人材不足が続く中、エビデンスに基づく効率的な介護とテクノロジーが必要になります。しかし慢性的な人材不足を補うために介護ロボットやICT(情報通信技術)の導入も求められる一方で、それを扱える人材の募集活動も同時平行で行わなければいけません。

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